幼い頃にヘンデルとグレーテルのグリム童話の本を読んだことがある。そこには「お菓子の家 」があり、喜んで食べているシーンがあった。子供ながらに羨ましく思ったことを、印象深く心に今も残っている。「パンの家」とか「チョコレートの家」それに「ケーキの家」など、いろんな家があればと夢は広がる。 さて日本を初めて西洋に紹介したのはマルコポーロであった。「東方見聞録」のなかには「黄金の国 チパング」とある。間違って伝えられた夢物語なのかも知れないが、もし「黄金の家」でも実際にあるとなると、これは西洋の人も大変な驚となったに違いない。しかし日本には「黄金の家」の夢を実現させたものがある。それが「金閣寺」であった。 私が初めて金閣寺を見たのは中学生の時である。本物の「金」で出来ている建物に興味は尽きなかった。想像していた通り、金閣寺は見事に光り輝き眩いばかりであった。それは驚きと共に感動であった。 歴史を紐解いてみると、1397年足利3代将軍義満は将軍職を義持に譲って、西園寺家の山荘跡に別邸を造ったのが、今の「金閣寺」の場所であった。しかし応仁の乱などで大半の建物は焼失。現在の建物は1955(昭和30)年に再建されたもの。さらに1988(昭和62)年には金箔が全面に張り替えられ、ゴールデン テンプルとして光り輝く姿となっている。
|