黄色いユリ科の花が、さわやかな風に舞いながら楽しそうに踊っていた。晴れ渡った霧ケ峰高原一面に咲き香る雄大な「ニッコウキスゲ」光景を、私は今も忘れられない。それは随分昔のことになるが、ある夏の避暑に出かけた時の思い出であった。美しきリゾート地「白樺湖」は更にその奥にあった。
今回訪ねたのは3月下旬。2日前にはこの季節にしては珍しく大雪が降った。白樺湖周辺は美しい新雪で覆われていた。湖面も白一色で凍ついていた。湖と岸の境界が全く見分けられない。娘が凍っている湖を見るのは初めてといっていたが、実は私も始めてであった。
白樺の木を見ているだけで、何かロマンチックな気分になってくる。私が関西出身でこれまであまり、お目にかかったことがないからであろう。子供の時に木の絵を描くと、木の幹は茶色と決まっていた。目の前にある白樺の木と、雪の白さが混ざり合って見事な光景であった。さらに蓼科山の雄大な姿が、美しさを盛り上げている。まるで一服の名画を見ているようであった。
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