土曜の夜11時過ぎの列車に乗って新宿駅を出発した。目的地は長野県の諏訪湖であった。7月下旬の東京は異常に暑い日が続いていた。1971(昭和46)年のことである。列車内は殆ど満席状態で、あまり眠ることが出来なかった。上諏訪駅に着いたのは朝早くであった。
改札口を出ると目の前には、朝靄かかる諏訪湖が広がっていた。早速ボートに乗って湖面を走らせた。さわやかな空気であった。身体中の全ての細胞が、蘇るような躍動を感じた。これまで多忙を極める連続の日々であった。長時間列車に揺られて来た甲斐があった。身も心もリフレッシュである。ここは日本を代表する避暑地なのだ。
あれから34年の歳月が流れた。今も諏訪湖は同じ状態で私を迎えてくれるのか。楽しみと少々の不安を感じながら車を走らせた。嬉しいことに諏訪湖は昔と同じであった。しかし町並みが大きく時代を変えていた。すっかり都会になってしまっていた。
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