このホテルに初めて入った時、あまりのゴージャスな雰囲気に、私は圧倒されてしまった。どのお客の姿を見ても、みんなお金持ちに見えてくるから不思議だ。ここは70年の歴史を持つ、大阪の貴賓室ともいわれる「リーガロイヤルホテル大阪」である。
大阪で一番素晴らしいとされるこのホテルと、私は何としても仕事の取引をしたいと、何度か訪問しアタックしてみた。しかしホテルに入ると、気おくれしてしまっている自分の姿に情けなく思った。これでは負けだ!勇気を持って担当役員に会うのだと決意する。以降、何度も訪ねたが決まって留守であった。私は留守を選んで、訪ねているのではないかとも思えてくる。その度に名刺を置いて帰った。 会えない訪問回数が12回にもなっていた。しかし12回目にして初めて会って頂けることになった。胸はドキドキ。待たされている間、いろんなことを想像してしまう。もしかして軽くあしらわれるのではないか。結果はその逆であった。担当役員は実に紳士でいて、気さくな人柄であった。しっかりと私の話を、最後まで誠実な態度で聞いてくれた。 |