◆未知の世界へ「海遊館」

 見ることの出来ない海の中が探検できる。人間にとってまだまだ「未知の世界」ゆえ、子供だけでなく大人も興味がある。大阪・天保山にある「海遊館」は、海の大自然のなかに私たちを案内してくれる。

 「地球は人間に属するものでなく、人間が地球に属しているのだ」(シアトル酋長 アメリカ・インディアン19世紀頃)大自然と共生するインディアンだからこそ、地球と人間の本質を理解出来るのであろう。私も全く同感である。人間が自由勝手に地球を支配できるものでは、決してないことを知らねばならない。

 この海遊館は地球を一つの生命体と考える、壮大な物語をテーマにしている。環太平洋火山帯・環太平洋生命帯を巡る海遊館の旅で、生命の尊厳、生命の不思議、そして自然環境の大切さが解れば入場料の2000円は安い。大阪人の風土のなかに、損か得か、安いか高いかが大事なポイントとなる。

 ここには580種類、30000点もの生き物がいる。私が感動したのは太平洋をイメージした深さ9m、水量5400トン。世界最大級の水槽の中に、巨大な「ジンベエザメ」が悠々と泳ぐ姿であった。その他には「マンタ」もユニークであった。なかには刺身にしたい美味そうな魚も。何時まで見ていても飽きない。

 更に南米チリの岩礁地帯をイメージした水槽がある。南極からの栄養分の高い大量のプランクトンを追って、見事な群れを形成して泳ぐ「いわし」を見ることが出来る。銀色に光り輝く群れの姿は、自然の美しさを満喫できる。「いわし」を漢字で書けば「鰯」となる。つまり「弱い魚」ゆえ、集団をなして守り合うのである。人間も一人では生きて行けない。守り合える家族、集落、町、国家があってこそ生きていけるのだ。 

撮影2005年 春