この家(間借)に住む以外にないから、仕方なく住んでいた。私は18歳〜27歳までの青年期を「東京」で過ごした。東京都民の一人であったのだ。自然は少なく騒音と公害で、環境は決して良くなかった。ところが青年期の頃は、それらをあまり意識することはなかった。「住めば都」とはよく言ったもので、一人で生きて行くのに必死であったし、余裕もなかった。
「東京が好きですか?」と聞かれれば、私は即座に「好きです」と言い切れる。その理由はいくつかあるが、素晴らしい友人が沢山いるからである。人間が生きていくのに自然とか、環境に恵まれることは大事な要素であるが、人間一人では生きていけない。温かい家庭、信頼の友、楽しい友情があるから生きる喜びとなっていく。しかし今となっては青年期と同じような、東京での苦しく惨めな生活は、とても耐えられそうにない。もうご免だ。 |