◆明石「魚の棚」

 たこに触ると吸盤が吸い付いてくる。生きている証拠だ。魚が跳ねている。カニ・エビ・シャコの足が動いている。すぐ近くにある港からたった今、水揚げされたばかりの新鮮な漁獲類だ。店の前には歩道にまでせり出して並べられている。ここは明石「魚の棚」。魚屋さんが多いのには驚きだ。その他には乾物から佃煮,天ぷら等、専門店が軒を連ねる有名な市場なのだ。

 私は子供の頃から市場に行くと、魚を見るのが好きだった。魚屋さんで見るだけでも、実に多くの種類が並べられており、それだけで楽しくなってくる。それ故に明石「魚の棚」に行けば、時間の経つも忘れてしまい、あちこちの魚屋さんで立ち止まって見ている。

 これまで友人・知人から魚を頂いたことがある。鯛、スズキ、ブリ、ハマチ等。これらを家で処理するのだが、妻は全くダメ。仕方なく私がこれまで魚をさばいているテレビ番組、料理屋での見よう見まねの記憶を頼りに挑戦する。我が家には「ステンレスの包丁」が一本あるだけ。一匹の大きな魚を前に、最初から最後までそれ一本でやってのけるのだ。刺身からあら煮用までである。不思議なことにあれだけ大きな魚でも、刺身にすると少ししか取れない。その分、あら煮は身がたっぷり付いており、家族からは大好評である。

 もう一つの明石「魚の棚」の名物に、たこ焼きがある。この市場にも数軒が店を出している。ここは“明石のたこ”の本場である。それに「お好み焼」の店も多い。その中で私は「水仙」というお店が好きだ。というのも美人ママが真心込めて焼いてくれるからだ。

撮影2005年 冬