◆日光杉並木

 日光東照宮を歩いていると、あちこちで立派な杉の大木を見ることが出来る。江戸時代、明治、大正、昭和、そして平成と400年もの間、あらゆる自然の災害・障害を乗り越えてきたのだ。激動する歴史の変化を見つめつつ、今も力強く生き抜いている。

 JR日光線の車窓から、こんもりとした杉の木が並んでいるのが見えた。あれが「日光杉並木」なんだと感激した。この並木は日光街道・例幣使街道・会津西街道の総延長37kmをさす。そして世界一長い並木道として、ギネスブックにも認定されているほどだ。古いもので樹齢300年を超える杉の巨木が、12800本も続く壮大な並木道である。これらは国の特別史跡、特別天然記念物の二重の指定を受けるほどの貴重な文化財なのである。

 この杉並木は徳川家康・秀忠・家光の、三代にわたって将軍家に仕えた松平正綱が、20年かけて植樹。1648年の家康公33回忌に、東照宮への参道並木として寄進する。その後も正信が父の遺志を継ぎ、親子二代で完成している。

 並木道にはお互いを支えあう力が働くものだ。日射を和らげ、雨、風、雪を緩和する作用がある。これは夫婦にも譬えられるのではないだろうか。「人」という文字には「支え」があるように、この厳しい世の中を一人で生きていくのは、なかなか難しいものである。支え支えられて生きて以外にない。そうすれば「日光杉並木」のように、長い年月をも全て乗り越えていけるのではないだろうか。

撮影2005年 冬