◆華厳滝の迫力

 怒涛の如き激しい水は一筋の太い流れとなって、次から次へと止まることなく落下していく。途中の岩に当って砕け散り、煙のような霧が生まれる。零下6度の世界は、水の流れが止まると忽ち氷となる。冬の華厳滝は水と氷が織り成す、大自然の見事な芸術作品だ。

 この栃木県日光の「華厳の滝」を加えて日本の三大名滝と言われているのが、和歌山県の「那智の滝」それに茨城県の「袋田の滝」である。それぞれの特徴・美しさがあり、多くの観光客の心を引き付けている。一方、世界にも三大瀑布と称されるものがある。ビクトリアの滝(アフリカ)、イグアスの滝(南米)、ナイアガラの滝(北米)である。これらは日本の滝と比較すると、想像も付かないほどのスケールの大きさで、まるで流れ落ちる水で出来た巨大な屏風である。

  この日は天気には恵まれたものの、とにかく回り一面銀世界である。風が吹けば積もっている雪が舞い上がり、前が見えなくなってしまう。中禅寺湖から流れ落ちる華厳滝もかなりの部分が凍っていた。この滝の中間部は十二滝と呼ばれる、細い滝が屏風のように流れ落ちている。これが美しさを一層効果的に演出しているように見える。 滝を下から見ようと思い、エレベーターで降りてみた。そこから見る滝は大変な迫力であった。爆音、そして強烈な風にゆっくりと見学どころではなかった。しかしこの滝を見て力強い男らしさを感じた。この滝と同じようにわが人生も、これほどの迫力を持ちたいとも思った。

撮影2005年 冬