美味しい日本酒を造る条件は、米、水、気候、杜氏の技、交通便等に恵まれていることが大事である。灘の酒はこれら全てに恵まれ、今日までの大発展と長い伝統を守り続ける結果となっている。なかでも「水」は最も大事な酒の命でもあります。
その水を1840(天保11)年、西宮の地にて山邑太郎左衛門が梅ノ木井戸から、「宮水」を掘り当てたる。この水は六甲山脈より気の遠くなるほどの時間が経過して流れ着いているとのこと。その間に磨きに磨かれた結果、カリウム、カルシウムなどを多く含み、かつ鉄分の少ない美味しい水となったのである。現在この地域には大手酒造メーカー各社が井戸を持っており、その一角の梅ノ木井戸に「宮水発祥之地」としての碑が建てられている。 酒造メーカーは全国各地にあるが、現在1500社ほどが営業している。そのうち上位10傑を見てみると、京都伏見の酒が3社、灘の酒が7社となっている。更に灘の酒には中堅クラスのメーカーも沢山あり、まさにこの辺りは日本酒のメッカなのである。阪神淡路大震災では大規模地域で断水となった。その時にここの宮水が開放され、多くの命を救う結果ともなったことを付け加えておこう。
|