今思えば婚約が決まり、結婚式までの間が人生の中で一番良かったように思う。結婚相手の彼女は芸術家。私は体育会系のスポーツマン。そうした面での共通点は全くなかった。水彩画を得意とする彼女とのデートは美術館。そして自ら出展した作品が入選すると見学に行きもした。大阪市立美術館に初めて行ったのは1975(昭和50)年7月の暑い日であった。第21回全関西美術展に応募。結果は入選し展示されているとのこと。行かざるを得ない。 この美術展は、日本画、洋画、版画、彫刻、工芸、書にわたって約2000点の関西及び周辺から出品があった中から、約1000点の秀作を選んで展示する。どの作品を見ても、その価値と良さが全く分からない私であった。あれから29年。この夏には第50回の記念すべき「全関西美術展」が開催されている。
それ以降、ここには様々な特別展示が開催され、何度も足を運んで見学した。美術に対しては何の魅力も感じない私であったが、何度も見学していると多少知識も増し興味も抱くようになった。有名な作品が来れば自ら進んで時間を裂き、高い料金を払ってでも見に行くようになった。不思議なことである。
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