◆ 大阪のシンボル「通天閣」

 庶民的な大阪。飾らない大阪。人がいい大阪。特に私は下町の大阪が好きだ。神戸育ちの私にとって、憧れと尊敬するところは沢山あり、とても真似は出来ないのだ。大阪と神戸では実は大きな違いがある。言葉で言うと大阪では「今何してはんの?」神戸では「今何しとん?」。大阪では「食い倒れ」(食い物の町)、神戸では「履き倒れ」(靴の町)、ちなみに京都は「着倒れ」(着物の町)、更に堺は「建て倒れ」(住宅の町)。大阪の「庶民」に対して、神戸は「ハイカラ」とまだまだ沢山ある。

 通天閣の側で毎月会合が有ったためよく通った。地下鉄から降りて近道しようとして、少々迷ってしまったことがあった。すると何か怪しい雰囲気の所に行ってしまったようで、怖そうな人から声を掛けられ、慌てて逃げた思い出がある。しかし慣れとは恐ろしいもので、毎月となるとお腹が空くときがあり、適当な店に入ることがある。とにかく大阪人は味にはうるさい。店内が少々綺麗かろうが汚かろうが問題なし。とにかく安くて旨ければいいのだ。そこが私にとって気に入ってしまったのだ。

  通天閣の周りは毎日がお祭りのように賑やかに見えた。ここに来ると気分的にもウキウキしてくる。それはネオンが温かく、下町の飾らない雰囲気があるからだ。この通天閣は1912(明治45)年に、パリのエッフェル塔と凱旋門を組み合わせたようなもので、当時東洋一の高さ(64m)を誇っていた。しかし戦時中に全焼し1956(昭和31)年に再建。高さ103mで円形エレベーターには注目が集まった。

  時代はすごい速さで変化している。新しい魅力ある街づくりはファミリーが楽しめて、若者に人気がなくてはならない。明るく清潔な街を目指して、今一歩脱皮が必要かも。      

 撮影2004年 秋