尼崎のイメージといえば「工場地帯」がまず脳裏に浮かんでくる。大手・中小の工場が大阪湾岸沿いに密集し、北へ阪神電鉄、JR線、更には名神高速道路付近に至るまで広がっている。日本が誇る有数の工業地域である。
高校時代の親友が尼崎に住んでおり、よく訪ねたことがある。「JR尼崎駅」と名が付いた所が市の中心地になる場合が多いのだが、尼崎一番の繁華街は阪神電鉄「尼崎駅」周辺であった。そこは昼夜共に賑やかで大変な活気ある街となっている。 庶民の温かさを感じる雰囲気は、私の大好きな町のひとつでもある。しかし親友はJR側に住んでおり、夜ともなれば辺り一帯は薄暗く、少々怖い感じさえする対照的な地域であった。その理由のひとつに、駅周辺には「キリンビール」、「ヤンマーディーゼル」、「神崎製紙」等々、日本を代表する大手企業の工場が立ち並び、広大な土地を占めていた。そのために通勤以外は余り人気もなく、各駅停車しか止まらない寂れた感じの駅に見えた。 |