渡り鳥がこよなく愛する場所、それは自然がある所だ。大都会の中にいることを忘れてしまうほど、緑豊かな森があり、水を満々とたたえた池がある。鳥の鳴き声がやたら大きく聞こえてくるほど、辺りは静かであった。ここの周囲はビル街であり、商店街に住宅地。そして交通量の多い道路が近くに走る。しかしこの中だけは別天地であった。正式には「井の頭恩賜公園」と呼ばれている。
訪ねたのは紅葉が最高に美しい時期であった。朝早かったせいもあって、空気が澄んでいるように感じた。健康志向の現在にあって、ジョギング、ウォーキングを実行されている人は、意外と多いことに驚かされる。私の知り合いにも沢山の方が、朝早く夜遅く自宅近くを歩いている。交通量の多い道路、狭い歩道に人通りがある所はできるだけ避けたいものだ。この公園を利用できる人は、本当に恵まれているように思えた。私の横を軽い足取りで何人もの人が通り過ぎて行った。
玉川上水と共に、江戸時代に日本最初の上水道が完成したのが、この井の頭池を水源とする「神田上水」であった。それほど当時は豊かな水が湧き出でたようである。1917(大正6)年には恩賜公園となり、日本で初の郊外公園として一般に開放された。 |