爽やかな秋がいっぱいの田舎道を快適にドライブしていた。角を曲がると畑一面に目も覚めるようなピンク色の花が波打っていた。秋桜(コスモス)畑であった。あまりの美しさに車をあぜ道に止めて、カメラを手に何枚かシャッターを切った。どのコスモスを見ても、今が一番美しい時だと語っているようである。決して豪華でもなければ、高価なものでもない。これほど「可愛い花」の言葉がぴったりする花は他にないと思う。コスモス畑、コスモス街道、庭先のコスモス、我々の身近な生活の中に生きている花だ。
秋桜(コスモス)の言葉を聞くと、山口百恵の「秋桜」の歌を思い出す。この曲は明日嫁いで行く娘と母の心境を歌ったものである。その庭先には風に揺れる可愛いコスモスが咲いていた。
「♪〜 明日への荷造りに手を借りて
しばらくは楽しげにいたけれど
突然涙こぼし元気でと
何度も何度も繰り返す母
ありがとうの言葉をかみしめながら
生きてみます私なりに
こんな小春日和の穏やかな日は
もう少しあなたの子供でいさせて下さい」
この歌を聴くと、自然と涙が込み上げてくる。結婚の喜びのなかにも、別れの悲しさが入り交ざる様子が伝わってくる。私には4人の娘がいる。まだ一人も嫁いでいないが、愛する人にめぐり会い、妻として母として幸せな家庭を築いてもらいたいと願っている。しかしその反面、いつまでもいつまでも私の娘のままでいてもらいたいとの気持ちも内心持っている。
これまでの人生で何度も「別れ」を経験してきた。しかし新しい「出会い」も経験してきた。私は別れよりも、素晴らしい出会いを最高に大切にする生き方でありたいと願っている。
撮影2004年 秋