◆ 「なんばパークス」の新しい街

 昔プロ野球パシフィックリーグの中に「南海ホークス」という球団があった。難波駅前に「大阪球場」があり、そこをホームグランドに1950年から1988年までの38年間ペナントレースを戦い抜いた末、「ダイエー・ホークス」に売却される。その間10回リーグ優勝、2回日本一に輝く。更に鶴岡監督のもと、野村克也捕手(8年連続ホームラン王、戦後初の三冠王)、杉浦忠投手のアンダースローの素晴らしいホーム。プロ野球の黄金期を築いた思い出多きチームであった。

 大阪球場を解体して5年,南海ホークスを売却して15年の歳月を経て、この跡地に「なんばパークス」という新たな大阪のランドマークが誕生。2003(平成15)年10月のことである。東京ではこの一年余り前より「六本木ヒルズ」や「汐留シオサイト」など大型プロジェクトがオープン。周辺地域に大きな話題を呼ぶと共に集客面でも大成功をしている。そして大阪でもその余波を受け継いで、3ヶ月で来場者800万人を達成。

 なんばパークスはオフィスビルと多彩な商業施設にある。特に驚かされたのは、商業棟の屋上から下まで緑化庭園になっていることだ。大都会の真ん中で、まるで森の中を散歩しているような感覚を楽しめる。自然を見事に取り入れた何とも嬉しい設計である。

 お店を見て回ったが、どれもこれもセンスが良く明るい雰囲気で、特に若者の心を捉えるように努力していることが随所に現れていた。私が興味を持つような店があるかどうか探してみた。何軒か在るなかのそのうちの一軒に、度肝を抜かれるほど驚いた店があった。それは焼酎の専門店であった。その種類と量の多さにブームとはいえ、相当な広い店のスペースに壁一面に何段も棚を作り、所狭しと焼酎のビンが並んでいる。主に九州が中心だが鹿児島県、宮崎県等、各県別に商品が陳列され、こんなにも焼酎が製造されているのかと改めて認識をした。日本酒よ、頑張れ!

撮影2004年 春