◆法隆寺は世界の宝

 それは驚きと感動の連続であった。日本の歴史を心から誇りに思うと共に、人間の力の偉大さに改めて敬意を表すものである。1993(平成5)年世界遺産に登録された「法隆寺」を訪ねての正直な感想である。まず敷地の広さに圧倒された。約18万7千平方メートルの寺域に50余りの建物があり、大きくは西院と東院に分かれている。 西院には「金堂」法隆寺の本尊が安置、釈迦三尊像(国宝)他多数。「五重塔」現存する最古の五重塔(国宝)で高さ31.5m。上に行くほど面積が小さく、安定感のある姿をしている。「大講堂」講義や法要を行う建物(国宝)。「大宝蔵院」寺宝の大半がここに収蔵。

 一方東院の中心は「夢殿」である。 聖徳太子を偲んで建てた伽藍が上宮大院。夢殿は優美な八角円堂。太子が居室で寝ていると夢に菩薩が現れ、経典の質問に答えてくれた逸話があり、その居室に似せて造られた建てたことから「夢殿」と名付けられた。昭和時代の後半に使用されたお札に、聖徳太子と夢殿が図柄されており、我々にとって馴染みあるものである。 ここ法隆寺の歴史は607年聖徳太子と推古天皇(わが国最初の女帝)によって創建された。しかし当時の伽藍は焼失。現代の建物は8世紀初頭に完成したもので、約1200年前に建てられたものであると知ると、気の遠くなるような感動を覚える。まさに世界最古の木造建築である。当時の建築技術がいかにすごいものであったかがよく分かる。

 1995年(平成7年)「阪神淡路大震災」で長田区に住んでいた我が家は全壊した。100m離れたところに私の父が住んでおり家は半壊。少し道路にせり出しており、危険極まりない状態であった。父は私に「自分で修理して住んでみては」とのこと。木造一戸建ての修理代は想像していたより多くの費用が掛かってしまった。しかし住めるだけの家にはなった。父はこれで「あと50年」は住めるといっていた。お蔭で今は快適な生活を送れるようになった。私は法隆寺の歴史を見て、日本が共有する大切な様々な財産を、いつまでも守り続けなければと願うものである。

撮影2004年 夏