◆ 宝塚歌劇との出会い

 宝塚歌劇は我々男性にとって、それほど興味ある分野ではないと私は思っていた。今から25年も前のことだが、私より一回り小さくした典型的な肥満体の先輩(男性)と二人で宝塚を見に行った。二人とも宝塚歌劇を見るような趣味は毛頭ない。この日に出演しているトップスターからの招待を受けてのことなのだ。席は前から三列目のそれもど真中。周りを見渡しても女性ばかり。つまり男は我々二人のみ。場違いのようで恥ずかしい限りであった。舞台が始まった。美しさ華やかさの中で、一生懸命に頑張っている姿に心打たれるものの、今ひとつ感動するところがなかったように思った。幕間に隣席の女性に声を掛けた。「どこから来られたの?」すると仙台からだという。それも東京公演からひいきのスターの後を付いて廻わっているとのこと。所謂"追っかけ"なのだ。綺麗な女性であったが、彼女は我々二人をどのように見えたのかが少々気掛かりであった。しかしこのような熱烈なファンが周りを見ると大勢いるのには驚きであった。改めて宝塚歌劇の素晴らしき価値を評価し認識させられた。

 宝塚スターとしてはその他に2〜3人知り合いがいた。皆さん素晴らしい人ばかりであった。退団後は厳しい訓練と経験を生かし、各界で活躍している。扇千景は国会議員となり大臣にもなったのを初め参議院議員に、女優、俳優、歌手等で大活躍。越路吹雪、八千草薫、鳳蘭、但馬久美、松あきら、大地真央、黒木瞳等々。世に沢山のスターと有能な人材を輩出してきた。その功績は誠に大きい。

 1914(大正3)年に創設者小林一三氏により、宝塚少女歌劇として発足。彼は阪急電鉄を中心とする大実業家であると共に、映画制作の東宝の創始者でもある。そして内閣の商工大臣も務めている。入団希望者は先に宝塚音楽学校に入学した後、宝塚歌劇団に入団する。そこには花組のほか、月、雪、星、宙の5組体制で、全て女性だけで演じられる。現代を女性上位の時代と云われているが、宝塚の如く魅力ある女性が、ドンドン活躍する世の中であればと私は願っている。

撮影2004年 夏