小学校の低学年の頃であった。夏休みに家族で摩耶山頂付近にある「バンガロー(山小屋)」に、2回ほど宿泊したことがある。森の中には点々と色とりどりの可愛いバンガローがあった。遠くから見るとまるで「白雪姫」の物語に出てくる小人の家のようだ。山頂は下界と比べて気温は3〜4度低い。特に夜から朝に掛けては本当に涼しい。霧が薄っすらとかかった幻想的な辺りを、ヒグラシ・小鳥の鳴き声だけが響きあい、山の中に居る雰囲気を一層感じさせてくれる。家には扇風機はあっても、まだクーラーがない時代にとって、家を離れて泊まる避暑地は、子供ながらに喜びと楽しみで一杯であった。 六甲山脈には幾つもの山が連なっている。「摩耶山」はその一つであるが、三宮の中心地からバスで随分急な坂道を登って行くと、約15分で摩耶ケーブル下に着く。ケーブルカーとは路面電車の車内を階段状にしたようなもので、急斜面を引っ張られるように登って行く。延長965mを「にじあじさ」(緑色)・「ゆめあじさい」(えんじ色)の2台が途中で交わしながら上下する。山の中腹に「虹の駅」があり、そこからロープウェーに乗り換える。延長856mの空中散歩である。真下には原生林が生い茂り、神戸の町と大阪湾が見事に見渡せる素晴らしいロケーションを楽しめる。山頂はけっこう広いスペースのある展望台で眺めは最高だ。ここからは神戸市内が一望できる。
阪神淡路震災ではロープウェーもケーブルカーも大きな被害を受け、以降6年間も運行できなかった。しかし2001(平成13)年3月17日春を迎えた喜びと共に見事復活をしている。 摩耶山にはこれまで東京・大阪そして全国から友人が来れば案内した。みんな喜んでくれた。独身時代妻ともデートした。そしてその後、家族そろって弁当を持って山頂で食事もした。すべて楽しい思い出だ。私は摩耶山が好き。その理由は沢山あるが、この山には自然の素晴らしさと共に、私を引き付ける魅力・感動がそこにはあるからだ。 撮影2004年 夏
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