私の家から自転車で10分程南に行くと須磨海岸に着く。ここは夏ともなれば関西より大挙として海水浴にやって来る。高い運賃と時間をかけて来ることを思えば、恵まれた地域に住んでいることに感謝である。父が神戸製鋼所に勤めていたこともあり、須磨には「海の家」を持っていた。家族で遊びに行ったことを思い出す。それは小学校2〜3年の頃であった。父は私の水中メガネを持って沖に向かって泳いで行った。暫くするとアサリを沢山持って帰ってきた。その次はカニを取って帰ってきた。私は嬉しさと共に「お父ちゃん、すごいなー!」思わず心の中で叫んだ。父親へ尊敬の眼差しを持って感動したことを覚えている。 中学に入ってからは学校が終われば、好きな友達と一緒に須磨へ魚つりに行った。夏以外のシーズンオフの海は綺麗で青く澄んでいた。目前に広がる雄大な海は大阪湾。魚は豊富で良く釣れる。投げ釣りのためほとんどが底にいる魚である。糸を持つ手にピクピクと当たりの感触が嬉しい瞬間だ。表面がヌルヌルしたテンコチという魚が圧倒的に多いのだが、たまにキス、カレイ、そして美しい色をしたベラも。更にはヒトデにカニも取れた。持って帰ると母はテンコチを上手に煮付けてくれた。小さい魚ゆえ身は少ないが味は悪くない。嬉しそうに食べている私を母は微笑んで見ていた。 結婚して子供がまだ小さい頃であったが、暫く振りに須磨に海水浴に行った。驚いた事に私が知っている砂浜がずーと沖まで広がっており、パラソルが一面に開かれ、優雅にビーチのスペースを楽しむ姿があった。大量の砂を足して海岸線を沖に広げたのだ。和歌山県の白浜(白良浜)もそうだが、ハワイ・ワイキキビーチも航空母艦で砂を運んだと聞いたことがある。須磨の海岸は日曜日ともなると、1日で10〜15万人もの人がやって来る。大変な人気だ。明石海峡大橋、鉢伏山、赤い灯台等、皆さんをいつも大歓迎してくれる。須磨海岸が美しい海と、素晴らしい砂浜がいつまでも保てますよう願うものであります。
撮影2004年 夏
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