◆ 甦る横浜レンガ倉庫

 「港」のイメージには船・岸壁・倉庫が目に浮かんできます。海に囲まれた日本には港はいたるところで見ることができます。それほど海との関わりは深く、港は日本で生活していく上において、なくてはならない存在なのであります。取り分け日本を代表する横浜港は国内はもとより、全世界への海の玄関口として古くから栄えた港であります。

 歴史をたどれば、諸外国との鎖国を守り続けた江戸幕府も、ペリー率いるアメリカ艦隊からの開国要求に屈し、和親条約を帝締結。その結果、開港した中の一つが横浜でありました。やがて横浜は日本と外国を結ぶ中継の地として大いに栄え、西洋文明をいち早く受け入れる場所となったのです。そうしたなか、当然「倉」が昔からあったように、横浜にも国の模範倉庫として、大正初期にレンガ造りで建てられました。それが通称「ハマの赤レンガ」として、今日まで市民から親しまれてきた倉庫であったのです。しかし新しく物流機能を備えた港がすぐ近くに完成し、次第に時代と共に取り残されていきました。

 実は35年前の私が20歳を過ぎた頃、運送会社のアルバイトで、何と赤レンガ倉庫に荷物を出し入れした事が、一度だけあったことを記憶している。古びた感じではあったが立派なレンガ造りに、貴重な建物であることは感じておりました。それが今このように生まれ変わり、素晴らしい変身を遂げるとは思いもよらなかったことであります。「港の賑わいと文化を創造する空間」をコンセプトとして、2002年4月に新たな施設としてオープンしている。

 近代設備が整った倉庫には、大型エレベーター、クレーン、ベルトコンベアー、更には大型トラックが出入り自由な出入口も備え、仕事の機能・能率アップに時代は進んでいる。そこで古い倉庫の処分が大きな問題となる。日本各地で成功した例を挙げると、アンティークな良い所を残した上で内外装し、おしゃれ感覚一杯のレストラン・ショッピングセンターを始め、文化・教育の発展のため生まれ変わっている。その代表が「横浜レンガ倉庫」なのであろう。恵まれたウォーターフロントのロマンチックなイルミネーションの立地条件は、誰からも愛される素敵な魅力ある場所なのだ。

撮影2004年 春