◆ 支笏湖の大自然に魅せられて

 さわやかな五月晴れの北海道・新千歳空港に着陸した。時折冷たい風が顔を刺す。春まだ浅い新緑と白樺の樹がどこまで続く道を走って30分余り、憧れの支笏湖に到着した。車を降りてまず驚いたのは眩しいばかりの太陽のもと、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んだ。すると体中の全ての細胞が、まるで生き返るような喜びと幸せを感じさせてくれる。そして美しさの限りに咲き誇った満開の桜が迎えてくれた。濃いブルーの湖面は妙に神秘さを感じさせ、原始林に囲まれた周りの山々には残雪が見事な模様を描いていた。私は感動した。56歳にして初めての北海道なのである。過って日本国内を旅する上で、これほどまでに興奮した事はない。私は高層のビル街を毎日見ているが、このように大自然に触れるほうが遥かに好きなのだ。

 支笏湖と琵琶湖の水の容積がほぼ同じと聞いて驚いた。支笏湖は広い湖であっても一望できる。しかし琵琶湖は何倍も広くとても一望することは出来ない。更に驚きは日本一の富士山と体積が同じなのである。支笏湖はカルデラ湖として最深360mもあり、田沢湖に次いで全国第2位。平均深度266mは日本一。湖の周りには恵庭岳、風不死岳、樽前山、紋別岳がそびえ、太古の自然がそのままに残っている、さすが北海道なのだ。

 湖の畔に数軒のお店が並んでいた。そこでアツアツの「じゃがバター」を食べた。北海道で初めて食べた味は実に美味しかった。やっぱり私は「味覚の北海道」の方が良いのかも。

撮影2004年 春