直径70cm、高さ9.5m、重さ12tの石柱6本には、その柱頭にうずまきの石彫が施され、更に外壁には総花崗岩が使われている。他の建物では類例を見ない豪華さを感じる。収蔵美術品は現代中国絵画を中心に中国景徳鎮の磁器、コンテンポラリー・アート、パプア・ニューギニアの民芸品など870点。1994(平成6)年に開館している。 この美術館に植野という人名が入っている。これは植野藤次郎氏のことで、この美術館の相当分を寄付されている。とても氷上町だけでこれだけ立派な美術館の建設並びにコレクションを、予算の捻出・企画・進行することは難しい。そこには強力なスポンサーが付かないことには全て不可能なことである。
ジャパンエンバ(株)「毛皮のエンバ」を知らない人はいない。毛皮の中でも最も高級なミンクコートやストールを中心に、原皮の海外調達から製造を行い、直営店の全国展開と積極的な宣伝で急成長している。同社は1947年に植野物産商会として兵庫県氷上郡でスタート。つまり氷上町は植野オーナーの故郷なのである。故郷に錦を飾るとはこのことを言うのであろう。1994(平成6)年3月期には年商約120億円にまで成長。しかしバブル崩壊の波は「毛皮のエンバ」を直撃。それから10年後に倒産。負債は約174億円。会社は全て消えてしまったが、素晴らしき文化の殿堂は永遠に残った。
撮影2004年 春
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