◆ 水の都「大阪」

 私にとって大阪は第三の故郷である。歴史、経済、文化等あらゆる面で東京に次ぐ日本第二の大都市である。飾らない庶民の心を持ち続ける大阪。「おおきに」という言葉に代表されるように、素晴らしい人間味溢れる大阪弁が私はたまらなく好きだ。

 「水の都・大阪」これまでよく聞いた言葉だが、その昔は物を輸送するには船が一番便利で、一度に多くの量を運ぶことができた。勿論、飛行機も車もなかった時代のことである。したがって商業の町・大阪にとっては、船を運行させるために海と川を最大限に利用した。しかしそれでは一部の地域のみに限られてしまい、更なる発展へ大きな障害が生じることになる。そこで大規模な運河の建設が進められ、網の目の如く船が行き来できるようになった。これにより大阪は日本一の流通経済を初め、商業の中心的役割を果たすことになった。

 時代は変わり、輸送に使われた船は今も重要な位置を占めているものの、用途に合わせて鉄道、トラック、飛行機等の多彩な交通手段が利用されている。現代の主流はトラックだ。会社から会社へ、倉庫から倉庫へ、高速道路を始め道路事情もよく、小回りが効いてこれからも更に利用価値が高まることは間違いない。となるとこれまでの沢山の運河はどうなるのか。すでに埋め立てが進み、道路を始め駐車場等に有効利用されて姿を大きく変えている。

 世界に目を移すと、大きな都市には必ず川を持っていると言っても過言ではない。パリ、ロンドン、ニューヨーク、ソウル、バンコック等々。まだまだ沢山あるが、大阪には道頓堀という有名な場所がある。阪神タイガースが優勝すると、戎橋の欄干から「お祝ダイビング」で様々なパホーマンスで川に飛び込む。これが「水の都」を印象させるビッグニュースなのだ。しかしこれも18年に一度あるかないかの出来事で、「水の都・大阪」の印象は薄れる一方になっている。

撮影2004年 春