◆神戸市役所は市民の灯台

 私が小学校4年生1957(昭和32)年の時に、神戸市庁舎(現在の2号館)が完成している。神戸の中心街・三宮のメインストリートに面しており、建物には時計まで付いた近代的なもので、市民が誇れる立派なものであった。そのときの記念品の一つに、桐の箱に入った銅で造られた市庁舎を描いたメダルがあった。

 偉い人にだけ頂けた物であろうが、何故か私は貰えた。それは子供にとってまるで宝のように思えた。つい嬉しくって友達に見せびらかしもした。最後は玩具になってしまい、ガタガタに傷ついて何処かへいってしまった。47年も前の思い出である。更に同年は市庁舎の隣に「花時計」が始動。須磨水族館のオープン。アメリカ・シアトルと姉妹都市にもなり、大飛躍の年でもあった。

 時は移り1980年代に入ってからの10年間は神戸市の歴史上、全国から大変な注目をされる発展を成し遂げるのである。行政改革により中央区・西区の発足。ポートアイランドの竣工、ポートライナーの運転開始、神戸国際会議場、国際展示場、市立博物館、青少年科学館、海づり公園、総合運動公園、農業公園、海洋博物館、グリーンスタジアム神戸(野球場)、しあわせの村、更には30階建の市庁舎(現在の1号館)等々の施設が続々とオープン。神戸ワインまで発売。更にはポートピア'81博覧会の開幕を始め、コウベグリーンエキスポ'85、ユニバーシアード神戸大会、フェスピック神戸大会の開催を大成功させている。皮肉った表現ではあるが「株式会社 神戸市」とまで言われた。

 想像にもしなかった大惨事が起こった。1995(平成7)年1月17日午前5時46分。「阪神・淡路大震災」である。私の人生にとって絶対に忘れ得ないショッキングな出来事であった。神戸市民全員が大なり小なり被害を受けた。悲しく辛い過去は二度と思い出したくないが、公共施設の建物の崩壊も大変なものでその損害は計り知れない。ある人は言った「復興まで10年はかかる」と。しかし神戸市の尽力のもと、日本・世界各国からの温かい支援を頂き、神戸市民は勇気・元気そして希望を持って見事に立ち上がった。どんなに辛い過去があっても私は神戸を捨てない。そして今も神戸市民としての誇りを忘れない。それは私の"故郷"だから、そしてやっぱり神戸が好きなのだ。

撮影2004年 春