◆神戸港震災モニュメント

 震度7を超える阪神淡路大震災は、神戸市内を中心に巨大なエネルギーが一瞬にして加わり、大変な被害をもたらしました。死者6,432人、負傷者43,792人、住宅被害は51万2882棟、そして火災における全焼6,148棟。私の住まいも全壊してしまい、家族・親戚にも大きな被害を与えました。あまりにも辛く苦しく悲しい経験ゆへ思い出したくはない。しかし神戸で生活する限り過去と云えども逃避するわけにはいけません。
 神戸には面白い表現があります。「それは震災前のこと?それとも震災後?」これは年代を語る時、震災前と後を別けることで非常に分かりやすくなるからであります。それほど大きな出来事であったわけです。「この家は震災前に建てたものですか?」とか「震災後に結婚しました」と、非常によく分かる表現になります。

 

 震災後9年が経過しました。「十年一昔」と云う言葉があるように、徐々に忘れ去れようとしているのも事実であります。遠くから来られた友人に町を案内していて「どこが震災にあった場所なのですか」とよく尋ねられる。困る事しばしば残骸の一つも残っていない現状に、ただただ言葉で説明するばかりなのである。最近知ったのであるが、メリケン波止場に「神戸港震災メモリアルパーク」がある。神戸港の岸壁の一部ではあるが被災したそのままを保存している。その他神戸港の被災状況や復興の過程をパネル展示しており、地震の恐ろしさを広く後世に伝えることを目的にしている。

 街を見て、歩く人を見て短絡的に震災はもう終わったのでは決してない。人の心の中に深い傷跡として今も残っている。しかし辛い過去を引きずって生きるわけには行かない。希望を見出し、生きる目的を明確にした時、本当の意味で震災の終止符が打てるのではないだろうか。「頑張ろう!コウベ」。          

 撮影2004年 冬