あと１０分もしないうちに、この大きな太陽は水平線のかなたに沈んでしまう。ここは神戸と淡路島の間をまるで川のように流れる明石海峡。そして太陽は西の瀬戸内海の海のかなたに消えようとする。こうした大自然の営みは、毎日毎日繰り返され変わることなく何万年も続いている。私の人生の中でこのように夕日をゆっくりと眺める機会に恵まれたのは、過去を振り返っても数えるほどしかなかった。それほど忙しく時間の余裕すらなかったのか。そうではない。ビルと建物に囲まれた生活環境では、難しいことでもあるが根本的な理由は、自然に対する心のゆとりが全く無かったのである。

　私たちの地球は太陽の周りを一周するのに365.2422日掛かる。宇宙の空間にレールが敷かれているわけでもないのに、一秒たりとも遅れることなく、また早まることもなく、見事な軌道を画きつつ赫々と正確に動き続ける。全く不思議でありこの運行の力はどこから出ているのか。そのエネルギーは何なのか。そしてこの宇宙を動かす根本の法則はあるのだろうか。毎日の生活と人生に勝利するために、必死で頑張ってはいるものの、これら大自然については、あまりにも意識がなさ過ぎたようで残念な気がしてならない。

　自然は美しい！私の人生の中でもっと自然を楽しみ、美しさを肌で感じ取れるような生活が送れるのであれば、これまでよりも更に素晴らしい心豊かな未来が開けるような気がしてくる。

撮影2003年　秋